フィッシュマンズ「頼りない天使」
「Welcome !」(4時のテーマ)
今日の仕事は、この3脚の椅子を観察することでした。
事務所に行くと、 望遠鏡と地図、それに小さな鍵を渡されました。
「この地図にあるホテルの一室から、窓の前に座って、
北北東の方向にあるビルの屋上を見てください。
すると、椅子が3脚並んでいるはずです。
そちらをこの望遠鏡で見ていただいて、
何か変わったことがあれば書き留めてください。」
それが今日の仕事です。
やはり割りのいい仕事には、 謎がつきものです。
とりあえず、言われた通りの場所へ行き、窓の傍へソファを寄せました。
望遠鏡を言われた方向にセットすると、確かに椅子が3脚あります 。
私の請け負う時間は、早朝5時半から正午まで。
まず初めに来たのは、カラスでした。
それから、 老夫婦、学生、若い清掃員、OL風の女、看護師、易者とその客、
犬を連れた御婦人、母親のような年齢の女と高校生くらいの男、
読書をする人、ケンカをする3人組、ヤクザ、僧侶、フルート奏者、
それから、ご飯を食べる人、煙草を吸う身なりのいい男、
傘を次から次へと12本ほど広げてみる人、
キスをする4人の恋人たち、ペンギン、ライオン、など。
たくさんの人や生き物が、この3脚の椅子を訪れました。
正午のベルが鳴り、事務所から電話がありました。
「お疲れ様です。望遠鏡とレポートをその部屋へ残して、
帰宅していただいて結構です。」
ホテルを出ると、先ほどまで望遠鏡の暗いレンズを覗いていた眼が閉まります。
私の観察していたあの椅子は、一体どこのビルにあるのだろう
眼はまだ開ききりません。
どこかでカフェオレでも飲もうと、 私は歩きだしました。
頭頂部がこそばゆいな
それに、 一体、何が’変わったこと’だったのだろう
どんなものが日常で、どこからが’変わったこと’なのか。
日常を見ていないのに、異変なんかに気がつけるわけがない
マテキ 伊藤彩里
さて、イースターの日曜日を迎えた4月4日(ちなみに、この日はマーティン・ルーサー・キングが暗殺された日でもある)、オバマは、ワシントンD・Cの黒人ゲトーである、南東部第9区にある黒人教会を訪問した。第9区での失業率は28.5%、貧困率は40%に達する。『ワシントン・ポスト』は、オバマがワシントンD・Cのブラック・コミュニティとが最接近した事例として、この模様を報じている。
ここのところ全米のメディアでは、オバマと黒人運動家との確執を報じる記事が多く見られる。ところが、元来彼は、ワシントンD・C第9区と大して変わらないところ、シカゴのサウスサイドで活動していたコミュニティ運動家だった。つまり、彼にとって、このようなコミュニティが抱える問題は、何も目新しいものではないし、また直接的関係性が薄いものでもないのだ。
オバマがこの日訪れた教会の牧師は、激しく体を揺り動かしシャウトをする、いわゆるリヴァイヴァル調の会衆について、「大統領御一行のみなさま、どうももうしわけありません、しかしわたしたちはこのようにここではクレイジーでいたいのです、髪を乱し、靴を放り投げている光景を見ることになるかもしれません、しかし、それがわたしたちが主を讃えるやり方なのです」と言ったという。この出来事を報じる『ワシントン・ポスト』は、それをこう表現した。「オバマがトリニティ教会のメンバーだったときに参加していた激烈な礼拝」である。